『 山本清治のクラブ9 』  2013年1月21日(月)
  窮地を脱したシャープと窮地に陥った空売り筋。

自民党の圧勝と安倍内閣の誕生を日本国民は諸手を挙げて大歓迎した。安倍首相が打ち出した斬新で過激で断固とした「2%インフレ目標」を受けて円相場が急落し、株価が暴騰し、製造業の業績予想が好転した。今回は産業界の革命的変化を象徴する銘柄として「シャープ」を取り上げた。
(一)黒字転換で、株価が急騰。
シャープ週足

(1)シャープの業績予想が黒字に転換し、その後も増額修正が続いている。
(2)<チャート1・シャープ週足>をご覧頂きたい。3ヶ月前には倒産説が横行して142円までたたき売られていた株価は、今や2.5倍の350円台に急騰した。
(3)逆に安値圏に取り残された「空売り」が追い証責めで窮地に追い込まれている。

(二)円安が増益に直結。
ドル円為替 週足

(1)安倍首相は日銀が2%のインフレ目標を政策目標に明示することを条件として、次期総裁の選定を進めている。
(2)安倍政権の矢継ぎ早の景気刺激策を受けて円高は円安に大転換し、ドル円相場は90円を突破してなお止まる気配が見えない。
(3)<チャート1・シャープ週足>と<チャート2・ドル円為替週足>を同じ時間軸で比較すれば一目瞭然、インフレ政策への大転換を受けて円安が進み、円安と連動してシャープの株価が反騰に転じている。

(三)巨大な空売りの踏み上げも。
三市場信用残高

(1)<チャート3・三市場信用残高>によれば、「売り」「買い」とも増勢一途をたどったが、先週末には買残7,000万株に対して売残が9,000万株に激増し、仕手戦の様相を深めている。
(2)さらにモルガン・スタンレー(3,392万株)、ドイチェバンク(1,677万株)等の機関投資家が大口の借り株(カッコ内)を用いて空売りしている。
(3)三市場残に借り株を加えた正味の取り組みは買い7,000万株に対して売り1億6,600万株で、2.4倍の大幅な売り越しとなった。
(4)売り方の頼みの綱はシャープの公募増資による新株供給であるが、1億株程度の増資であれば焼け石に水だろう。
(5)株価が2.5倍に急騰した結果、買い方は「高みの見物」を決め込んでいるが、売り方は追い証に次ぐ追い証で資金繰りに窮している。
(6)このまま金融緩和、円安、業績好転の連鎖が続けば、シャープの仕手戦は売り方の踏み上げに発展する可能性がある。

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