1993’05
★怖い水”の話
水飢饉国ニッポンに”水”を取り戻すには

 みなさん、美味しい水、飲んでますか?え、まずい? だから、『富岳の水』とか『六甲のおいしい水』とか『摩周湖の霧水』とか、買ったものを飲んでるって? ありゃりゃ、それは困りましたね。
”水飢饉”の日本列島
 いま、美味しい飲み水ということに関する限り、日本列島は「水飢饉」と言っていいかもしれない。日本中のデパートやスーパーに山積みされて売られているさまざまなブランドの飲料水は、「水飢饉の証拠」でもある。
 また、日本中いたる所に設置されているジュースやコーラ類の自動販売機。あれも日本の水が安全でないか、おいしくなくなっていることの証明だ。 実際に現在、日本の水道水は危険である。
 もっとも危険なのは大阪。大阪府民の90%以上の人が淀川の水を飲んでいるが、淀川は京都という大都市の下水である。つまり大阪府民の飲んでいる水は、京都市の下水を浄水場で処理した水なのである。
 下水には当然にアンモニア性窒素が多い。このアンモニア性窒素は、現在の下水処理場では除去できない。そのために、浄水場では塩素が過剰に投入される。殺菌・消毒に必要な塩素の何十倍もの量の塩素が、アンモニアを除去するために使われているのだ。現在、塩素は殺菌のために必要なのではないのである。
浄水場の問題点
 浄水場で投入された塩素は原水中の有機物と反応してトリハロメタンという非常に危険な発ガン物質を生成する。いまのところ、この「アンモニア→塩素→トリハロメタン」という恐ろしい悪循環をストップする方法はない。
 「大阪が危険」 というのは、水道水のなかの発ガン物質・トリハロメタンが、大阪では全国平均の2倍以上も多いからである。大阪の水道は、塩素が多くてまずいだけではなく、現実問題として危険な水なのだ。
 ではどうしたらよいか?
 個人的レベルでは、安全な水を買って飲むことだ。そうすれば発ガン物質を飲むことはない。
 社会的なレベル、国家的なレベルの問題としては、ほとんど絶望的である。なぜなら、水道水を作るのに、“塩素処理法”以外の方法はない、 と日本の社会全体が思い込み固執してしまっているからである。そして、莫大な税金をつぎ込んだ塩素処理方式の浄水場が日本中のあらゆる都市に建設されてしまっている。これを変えるのは、とうてい不可能だろう。
 同じようなことが、下水処理場についても言える。
下水処理場の問題点
 日本で採用されている下水処理の方式は、“活性汚泥法”と言われるものである。 大量の汚水にブクブクとエアレーションしている大規模な下水処理場。あの巨大な施設で行われているのが“活性汚泥法”だ。
 この方法では、アンモニアを除去することはできない。逆に、アンモニアを増加させてしまっている例もあるほどだ。
 このように“活性汚泥法”による下水処理も、“塩素処理法”による浄水処理と同じように、ほとんど破綻状態にあるのに、国も地方自治体も見直そうとしない。 これは、“活性汚泥法”や“塩素処理法”に固執している精神構造のせいではないだろうか。要するに「古い常識」から抜け切れないでいるのだ。
 「発想の転換」などという大袈裟なことはいらない。少しだけ、ほんのちょっと視点を変えるだけで、まるで違った世界が見えてくるのに・・・。このままでは、日本の水処理は国民の健康を害するだけのものになってしまう。
オガクズを使う処理法
 しかし、希望がないわけではない。 最近のことだが、私はパソコン通信の友人の助力もあって、素晴らしい効果を発揮する汚泥処理を確認することができた。どういうものかというと、特殊な加工をほどこしたオガクズを使い、有機汚泥水を完璧に処理してしまうという方法だ。このオガクズ、商品名を『ホーラ剤』といい、発明者は松岡晃範氏。オガクズの中で、生ゴミや汚泥が完全に消化され、消滅してしまうのである。
 当初、私はこの話をほとんど信じていなかったが、茨城県の友人にこのオガクズ浄水法について面白半分に書いた電子メールを出したところ、 「飯山君も頭が堅いね。現場を見たら?」という返事が返ってきた。となれば、好奇心が人一倍強く行動力抜群の私(エヘン)のこと、では、と”現場”に飛んだことは言うまでもない。結果,その効果のほどを確認することになったのである。
友人が教えてくれた現場とは,常磐高速の谷和原インターの近くにある『あじぜん』というレストランだ。
 このレストランの一日の排水量は、30トンもあるが、放流先がないため、開店できなかった。しかし、『ホーラ剤』で対処して、処理水は土壌へ浸透・拡散させてよいということで店をオープンすることができたという。
 この「現場」に行ってびっくりしたのは、レストランからの大量の排水が流れ込んでいるのに、悪臭が一切ないことだった。聞けば、二次公害も皆無だという。なぜか?
最良の浄化装置は土壌
 オガクズの中で生ゴミや汚泥が完全に消滅するという理屈は簡単で、言ってみれば“大自然の法則”だ。
 「この世の中で最大かつ最良の浄化装置は土壌であり、また土壌に生息する土壌菌によるものです。ホーラ剤によるクリーン装置は、大量の土壌をコンパクトに集約したシステムであると考えて下さい。」
 と松岡晃範氏は説明するが、要するに小さい無数の穴があるオガクズのなかで大増殖した特殊な中間菌が、汚泥や生ゴミをことごとく食いつくしてしまうのだ。
 下水処理場で空気をブクブクと送って発生させる好気性菌と違って、ホーラ剤のなかで発生する中間菌は、アンモニア性窒素も完全に分解してしまう。なにしろ無臭なのだ。
 全国的に広く採用されている下水処理と浄水処理の誤った方法を是正するシステムとして、松岡晃範氏が発明し特許をとったホーラ剤は、まさに見事と言うほかない。
”柔軟な精神”のネットワーク
 日本は本当に広い。古い常識に固執しない、柔軟な精神をもった素晴らしい知性が日本のあちこちにおられて、新しい未来を開拓すべく懸命の努力を積み重ねている。
 さらに素晴らしいと思ったのは、関西の某巨大企業が早速にホーラ剤の情報を入手して茨城県まで駆けつけ、松岡氏にウン千万円という資金援助をしたことだ。もちろん企業であるから、将来の利益計算を十分にしてからのことであろうが、松岡氏を金で拘束するようなことではなく、スパッと気持ちよく出したのである。
 松岡氏と巨大企業を結びつけたのは人間というよりも、人と人のつながりの総合体(これを“ネットワーク”と私は呼んでいるのだが・・・)とでも言うべきものであったようだ。
 どうやら、数はまだまだ少ないが、地球と人類の未来を真剣に考えて本気で行動する人と人、企業と人を結ぶネットワークの形成が本格的になってきたようである。
 PC−VANにしろ、NIFTY−Serveにしろ、パソコン通信それ自体は、ネットワークではなくて、ネットワーキングのためのツールなのだ。
 さてさて、次回は、「パソコン通信はネットワークではない!」などという文章を書いてみることにしようかな。

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