★  「蓮池薫は、北朝鮮の工作員だった」は、哲学的に是認されなくてはならない

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▼   なんか、僕がブログから抜けているとき、とても面白い事件が起きていた。 『週刊現代』新年号の渾身のスクープ、それに対する『週刊新潮』の反論、で展開された、イエロージャーナリズム同士の華々しいバトル。 どちらの記事も、読む気はおきないのだが、少なくとも拉致被害者について、不思議と言われてこなかった、ある「ダブー」に風穴を開けたことについて、『週刊現代』を高く評価しておきたい。


▼   読売・産経から新潮・諸君・サピオに至る右派ジャーナリズムには、北朝鮮における国家とその公民の関係について、公式化された見解、というかドグマがある。  


「北朝鮮政府が外に送り出した人物は、政府の工作員である」


▼   それなら、「北朝鮮政府が送り出した」蓮池薫はどうなるのだろう、と前々から思っていたが、みごとに逆用された形で、愉快痛快このうえない。 まさしく、反骨精神の面目躍如。 『週刊新潮』や右派ジャーナリズム、それに日本政府は、さっそく、情報提供者の身元を問題にすることで否定に躍起だが、それも仕方あるまい。 『週刊現代』の記事は、拉致被害者のもつ、ある重要な何かに、風穴を開けてしまったからである。 それは何か。


▼   こういう問いかけをしてみたい。

    蓮池薫は、どうして北朝鮮で生き延びることができたのだろう
    
    

▼   これまで、工作員訓練のための語学教官施設でうんぬん、で曖昧にされてきた次元とは、何だろうか。 それは、語学教官として拉致された人間は、もし「拉致被害者の会」の言うとおりなら何百人もいて、「替わりはいくらでもいた」ことにほかなるまい。 帰還事業で帰国した在日は、日本語が話せたことで、どのような目にあわされてきたか。 ましてや、蓮池薫は外国人。 彼の言葉は、朝鮮人には理解できまい(そのため、日本人を拉致する必要があったのだ)。 彼は、北朝鮮にとって必要でもあったが、同時に朝鮮人が監視できないという点で、危険きわまりない人物でもある。 おまけに、「日本語が喋れる人間」だけなら、蓮池薫クラスはいくらでもいるのである。  


▼   右派ジャーナリズムの公式見解を総合すると、過酷な北朝鮮社会では、職場の至る所で密告が横行していているという。 また、収容所に入れられ、餓死させられているものも多い。 たぶん、その通りだろう。 にも関わらず、かれは生き延びている。 そして我々は、今もなお多くの日本人が拉致され、北朝鮮政府の下にいると信じているが、さすがに、その拉致された全員が存命しているとは思ってはいない。 自然死以外にも、北朝鮮政府に殺された日本人は、多いと考えている。 


▼   それならば、理由はほかでもない。 彼が、マインドコントロールによって、「北朝鮮体制の忠実な僕」であっただけでなく、それを客観的に「公式」に示してきた ――― 彼は、拉致された「日本人」同胞さえ、北朝鮮当局に密告、売り渡してきた、極めつけ優秀な、「金正日体制」の下僕だったから、ではなかったか。


▼   週刊現代が与えたショックとは、この可能性の「領域」を切り開いた点にほかならない。 そして、家族会や政府のヒステリックな否定的な反応も、この領域に対する否認とみなさないと、ただの事実確認をめぐる闘争に歪曲されてしまう。


▼   そもそも、蓮池薫が職場において、朝鮮労働党の信頼する、模範ともよべる優秀な北朝鮮公民でなくして、どうして、北朝鮮から出国することがありえたであろう。 考えてみれば、蓮池薫本人は、あまりマスコミに出たがらない。 いつも、拉致家族会の厳重なガードに守られ、蓮池透が、頼まれもしないのに、しゃしゃり出ているだけである。 その忌避は、何故なのか。 そして蓮池透は、「マインドコントロールが解けるのに時間がかかった」と、常々、語ってきた。 マインド・コントロールの解けない状態とは、かれが優秀な北朝鮮公民と同様の行動をとることにほかなるまい。  社会主義政権下、模範的公民であることのもっとも簡単な当局への証明は、模範ではないものを密告することではなかったか………。 


▼   北朝鮮核武装によって、北朝鮮打つべし論が下火になって久しい。 右派は、意気地がない。 「体制崩壊するだろう」論と、「だから核武装しよう論」にこぞって、宗旨替えのご様子だ。 あながち、「打つべし論」も、嫌いではなかった。 ひょっとしたら、スパイ警察資料がごっそり押収できて、蓮池薫署名の上申文書なども、日の目を見ることになるかもしれない。 そう考えると、それはそれで面白いと考えたからだ。 「体制崩壊」では、その後の国民和解のことまで考えると、スパイ警察資料が、手先レベルにすぎない、蓮池薫資料まで全面公開されるとは、考えにくい。 この説に、裏が採れないことは、まことに残念でならない。


▼   蓮池薫は北朝鮮の工作員だった、という衝撃的な『週刊現代』のスクープは、やはり哲学的な意味において、徹底的に是認され、肯定され、承認されなければならないだろう。 それは、彼が、「本当に」拉致実行犯だった、という意味でではない。 


▼   それは、蓮池薫の帰還という事実を、蓮池薫の存命によって「失われてしまった可能性」とともに理解することであり、彼が北朝鮮で生きぬいたことそのことによって、「失われてしまった何か」に思いを馳せながら、理解することなのだ。 


▼   そして蓮池薫は、このことについて、何も恥じることはないだろう。 我々は生き残るために、今も、生物を犠牲にして、ひどい場合、命さえ奪っている。 かれは、たかだか、その犠牲の領域に、「同胞の日本人」を何らかの形で加えたにすぎない。 そう。 山本懸藏を亡命先のソ連で密告した、野坂参三・日本共産党元名誉議長と同様の、どこにでもある、ありふれた出来事にすぎないのだ………










正当防衛という言葉   くれどさん


生きているから怪しいというのでは   arkanalさん



朝鮮再侵略? イプサム

北朝鮮も相変らずだなぁ~ 時事通信より以下引用 「武力衝突ラインに肉薄」=対日敵意むき出し-北朝鮮機関紙 【ソウル4日時事】北朝鮮の平壌放送によると、労働党機関紙・労働新聞は4日、「倭国(日本の蔑称=べっしょう=)の対朝鮮敵視政策は限界を超えている。事実...(Jan 6, 2007 08:11:25 PM)




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