平城遷都1300年祭キャラ 愛称は決まったけど…

2008年04月16日07時32分 asahi.com

 平城宮跡(奈良市)などで2010年に開かれる「平城遷都1300年祭」のマスコットキャラクターの名前が15日、「せんとくん」に決まった。仏に似た「童子」に、神の使いとされる奈良公園の鹿の「角」をつけた姿が論議を呼び、1300年祭の知名度アップに大いに貢献した。一方で、「親しめない」「違和感がある」と批判の声も根強くあり、市民有志は同日、独自のキャラクター公募に乗り出した。この騒動、まだ収まりそうにない。

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マスコットキャラクターの「せんとくん」

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座るせんとくん

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走るせんとくん

 この日発表した平城遷都1300年記念事業協会によると、「せんとくん」は、約1万4500件の応募中、337件で最多だった。加えて、イベントの趣旨にあう▽語感がよい▽外国人にも発音しやすいなどが決め手になったという。活用に向け新たに「考える」「歩く」など12ポーズが公表された。同協会副会長の荒井正吾知事は会見で「いい名前が選ばれてうれしい」と笑顔を見せた。作者の籔内佐斗司(やぶうち・さとし)東京芸大教授も「ようやく『あの子』にすてきな名前を付けて頂いて大変うれしく思っています。彼がこれから力いっぱい祭の役に立ってくれることを願っています」とのコメントを出した。

 しかし、県内のデザイナーらでつくる市民グループ「クリエイターズ会議・大和」はこの日、オリジナルキャラクターの公募計画を発表。事務局長を務めるデザイナーの田中功さん(57)は「親しみを持たれ、愛されることがキャラクターの役割。県民みんなで楽しみながら選びたい」と話す。5月15日まで案を募り、ネットや街頭での投票などで候補作を絞り、6月2日に発表する。採用者にはカンパなどで集めた賞金を出し、地元商店街など民間が使えるようにするという。

 キャラクターをめぐっては、2月の発表直後から1カ月で約1千通の批判意見がメールや投書などで寄せられた。また、地元の僧侶有志は「仏様の頭に角を生やし、侮辱している」と再考を求める意見書を提出。同協会が公募せずにデザイナーに制作を依頼するコンペ方式で決定したことにも批判の声が出ていた。

 同祭は、都が奈良に置かれてから1300年にあたる2010年に奈良県などでつくる事業協会が主催し、宮殿の復元や体験型イベントなどが計画されている。

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